第2回「大江戸芸術書店めぐり」記録
インディペンデント・キュレーター 深瀬鋭一郎


1.コース内容

 2日間で40店舗を廻る大ツアー。
 とはいえ、広いジャンルをカバーしようとすれば、それでも廻り足りなくなるので、今回は明治時代以降の美術と写真に関する和洋書籍の取扱いが多い(=本棚が5つ以上ある)個性的な書店(下見で判断)を対象としました。建築、デザイン、音楽、演劇等(パフォーミング・アート)、絵本を中心とする店はあえて捨象しました。

(1)土曜日コース<ザ・古書ツアー:26店舗>

■東京ゾーン:八重洲ブックセンター[10時集合]、八重洲古書館、(R.S.Books)、フォーラムブックショップ→[昼食]→■神保町ゾーン:ブックブラザー源喜堂書店、タトル商会東京ランダムウォーク神田店、悠久堂書店、一心堂書店、奥野書店、松村書店、魚山堂書店神保町店、蒐堂、山田書店、とかち書房、美術倶楽部ひぐらし、吾八書房、虔十書林→[休憩]→ビレッジ・ヴァンガード、長島書店→■早稲田ゾーン:一心堂書店、五十嵐書店、古本茶屋岩狸→■池袋ゾーン:ジュンク堂池袋本店→■新宿御苑ゾーン:蒼穹舎→■青山ゾーン:古書日月堂→■渋谷ゾーン:渋谷古書センター[20時30分解散]

(2)日曜日コース<素敵な本屋めぐり:12店舗[うち重複1店舗]>

■青山ゾーン:スパイラル[11時集合]、On Sundays、Shelf、嶋田書店、Gallery360、(NADiff)→■[新宿御苑ゾーン:蒼穹舎]→■荻窪ゾーン:ささま書店、興居島屋、ハートランド、古書音羽館→■(高井戸ゾーン):(中川書房)→■(経堂ゾーン):(遠藤書店支店)→■中目黒ゾーン:COW BOOKS、GAS SHOP、ART BIRD BOOKS [20時解散]

注 ( )内は時間切れで訪問できず。[ ]内は2度廻り。


2.参加状況

 2日間とも参加したのは学芸員2名のみ。他の参加者は1日のみの参加で、土曜のみ参加した人が5名(主に神保町に興味を持っていた人たち)、日曜のみ参加を希望した人が2名(学校への通学日や美術館勤務日の都合で日曜日に開いている芸術書店に興味を持っていた人たち)でした。

 土曜日コースでは、書店が神保町に集中しており、移動距離が比較的少なかったことから、多くの書店を訪問することができました。日曜日コースでは、訪問した書店の数は少なかったけれども、この数年間で形成された新たな「聖地」、西荻窪ゾーンと中目黒ゾーンまで足を伸ばすことができました。

 なお、2日間参加も可能かつ途中離脱も自由としたので、各参加者の訪問書店数には相当なバラツキがありました。

■参加者[敬称略]
尾野田純衣(深瀬記念視覚芸術保存基金):37店
島田有美子(うらわ美術館):31店
澤登丈夫(コレクター、アーチスト澤登恭子の父):26店
橋本誠(横浜国立大学3年生):26店
高橋朋子(アーチスト):26店
栗原奈緒子(日本女子大学3年生):26店
大塚真弓(とちぎ蔵の街美術館):12店
塚瀬まい(都立上野高校2年生、、すいどうばた美術学院在学):12店
玉重佐知子(ライター):3店


■深瀬鋭一郎:37店、他に下見のみ21店、計58店
下見のみの店:上記( )内の4店、三省堂書店本店、蘭花堂、呂古書房、八木書店、一誠堂書店、UTRECHT、バラード堂、古書ほうろう、BOOK OFF原宿店、青山ブックセンター本店、青山ブックセンター六本木店、LIBRO青山店、洋書LOGOS、くまざわ書店銀座店、丸善本店、古書湧書館、タコシェ


3.反応

 同一企画2年目とあって、前回(2002年)の経験を踏まえて、質が高い書店を効率的に廻ることが出来ました。このため、一日10時間の強行軍にもかかわらず、参加者に疲労を訴える声はなく、休憩に利用したCafeも含め、「楽しいツアーで役に立つ情報を得ることができた。」とのご評価をいただくことができました。ただし、2日間とも参加した参加者にはさすがに疲れがみられたため、来年は1年目と同様に、土曜日1日のみの催行に戻そうと思います。

 参加者は古書を中心に、最少4冊から最多13冊を購入していました。一番人気の書店は、南青山の日月堂(深瀬の事務所より徒歩3分、専門分野は1920−30年代美術)、次いで渋谷古書センター(マークシティそば、美術書の店頭品揃えが古書店最多)、蒼穹堂(新宿御苑大木戸門前、日本の写真集専門、ストレータ・フォトのギャラリーと写真集出版も兼ねる)、笹間書店(荻窪駅南口、幅広い品揃えと掘り出し物を含む特価本)、蒐堂(神保町、戦中戦前の紙物)など。学生さんは上手に割安な本をハントしていたことが印象的でした。

 今回は事前準備の時間切れで、西荻窪・荻窪・高円寺ゾーンの書店(20数件存在)探査が間に合わず、古書比良木屋など有力店の一部を廻り損ねたため、こうした書店もカバーすることを2004年の課題としたいと思います。


4.応募状況

 2月17日発売の美術手帳18日午前0時の正式告知(メーリング・リストで一斉に通知)から同日午後8時に締め切るまでの僅かな時間で、定員7名を上回る9名もの応募がありました。このため、催行日数を2日に増やして、締め切るまでに応募した全ての人が参加できるようにしました。

 メール告知をみて応募したアート系の人が6名(学芸員3名、アーチスト1名、アーチストの父1名、ライター1名)、美術手帳のウェッブ・サイト"Art Loco"や美術手帳3月号をみて応募した学生さんが3名、最初からサンキューアートのホームページをみて応募した方はありませんでした。

 2004年は、参加者の募集方法に一層の工夫を講じることで、2003年のような応募者殺到の中でも、先着7名の参加者を円滑に受け付けることができるようにしたいと考えています。


5.Special thanks to

 島田有美子さんには、特に日曜日の自動車提供、ガソリン代ご負担などで大変お世話になりました。参加者全員になり代わりまして、御礼申し上げます。また、美術手帳編集長の楠見清さんにも、ウェッブ・サイト"Art Loco"や美術手帳への記事掲載、中目黒情報の提供で、大変お世話になりました。「Thank you @rtの日」全体に対してご協賛賜りました(株)資生堂にも、篤く御礼申し上げます。

 来年も、「人気爆発!全員満足!」を目指してがんばります!


(参考) 写真の説明

■1-3は、土曜日の参加者がフォーラム・ブックショップ観覧の後、国際フォーラム地下のROYALで昼食をとっているところです。
1は、左から深瀬、橋本、尾野田さん。
2は、左から深瀬、橋本、玉重さん。
3は、左から島田、澤登、高橋、栗原さん。

■4-8は、日曜日の参加者が書店めぐりをしているところです。
4は、新刊写真集専門「Shelf」(神宮外苑前)の入り口前。左から塚瀬、島田、大塚、尾野田さん。
5は、「Shelf」の店内。
6は、「ワタリウム美術館」(書店名は洋書美術書「オン・サンデーズ」)の入り口前。左から塚瀬、大塚、深瀬、島田さん。
7は、「Gallery360°」(表参道)の店内ブック・コーナー。
8は、芸術古書・新刊写真集・出版「蒼穹堂」(新宿御苑前)の店内。

以 上


Thank you @RTの日実行委員会
E-mail: info@39art.com


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